横切り盤を使用して、板材の角を丸めたり円形に切り抜く方法を紹介します。
横切り盤を使って Rや円を切る
横切り盤は回転する丸ノコと、前後にスライドするテーブルの組み合わせで構成されている木工機械です。家具製作の現場では材料を正確に直線切りをするために欠かせない機械です。
この真っ直ぐにしか切れない横切り盤を使って材料をRや円形に切ってみたいと思います。
石津製作所のISC-1300というモデルを使っています。
角をRに切り落とす方法
角が丸くカットされた板を作ってみましょう。天板や棚板の角に丸みを持たせるときのテンプレート(型板)として使用できます。
台となる板をセット
横切り盤のスライドテーブルにベース板を固定します。ベース板は材料をビス留めできるように厚めのものを使用します。
ベース板の端を1~2mmくらいカットできる位置にセットしてしっかりとテーブルに固定したら、ベース板を真っすぐにカットします。
カットしたラインが今回の作業の基準位置となります。
ベース板は24mm厚のランバー材を使用しました。
加工する板の準備
角を丸く加工したい材料に墨付けします。今回は厚さ9mmのベニヤの角を50R(半径50mm)に丸めたいと思います。
直角にカットしてある材料の端から50mmずつの位置に直線を引きます。線が交わった部分が50R=直径100mmの円の中心ということになります。
中心に細めのキリで垂直に穴をあけます。穴がナナメになっているとカットするときの加工精度が落ちます。
ベース板にビス留め
横切り盤にセットしたベース板のカットラインに材料を揃えます。きっちりツラになるように細いビスで中心の穴を固定します。
ビスはミニビスの25mmを使用しました。
これで固定したビスを中心として、中心から50mmの位置だけをカットすることができます。
少しずつ回転させながらカット
最初は直線で角を落とすようにカットしていきます。ある程度丸くなったら丸ノコの切れる位置を調整しながら材料を丸く動かしていきます。
最初は角を落としていく感じで・・・
少しづつ丸に近づけていきます。
綺麗なRがカットできました。
円形に切り抜く方法
9mmベニヤを直径300mmの円盤型に切り抜いてみましょう。先ほど使用したベース板はそのまま使用できます。
加工する板の準備
材料を1辺が300mmの正方形にカットします。対角線を結ぶラインを引いて、交差したところが円の中心となります。
中心には先ほどと同じように穴を垂直にあけておきます。
ベース板にビス留め
カットラインに材料をきっちり揃え中心をビス留めします。材料を回転させたときに横切り盤の定規部分に干渉しないように、固定位置に注意します。
回転させながらカット
角を直線的に落としながら多角形を作っていきます。
このとき反時計回りに回転させると中心のビスが抜ける方向に回ってしまうので、必ず時計回りに回転させます。
ある程度円形に近づいたら切れる位置を調整しながら、丸く動かして滑らかな円を作っていきます。
最初は直線的に8角形を作ります。
次に16角形・・・と徐々に円に近づけていきます。
このように綺麗な円盤ができました。
最後に
今回は横切り盤を使って丸いものを作りました。直線しか切れない機械でも使い方を工夫すれば丸いものが切れます。
他にもトリマーやルーターを使用する方法、ジグソーで丸くする方法もあります。
一つの機械が複数の役割をこなすところ、同じ答えに複数の道筋があるところ。決まり事が少ないところが私が木工を好きな理由の一つです。
おわり。