お客様との図面打ち合わせ時に「天板角落とし」「天板角切り」の指定をいただく場合があります。ショッピングモールの什器などで角っこが三角に切り落とされているアレです。
無垢材の場合はカットしてサンドペーパーで整えてヨシなのですが、化粧板で仕上がった家具の場合は少し厄介です。
天板の角落とし
ショッピングモールや百貨店のお仕事でよくある「天板角落とし」。子供さんが頭をぶつけた場合に少しでもダメージが少なくなるように考えての措置です。
メラミン化粧板で仕上がった天板です。
トリマで面取り加工し、サンドペーパーで角を削って触れても手を切らない程度に仕上げます。(トリマで面取りしただけでは角がピンピンで鋭いです。)特に黄丸で囲ったコーナー部分は気持ち多めに丸めて仕上げます。
普通の家具の場合はここまででOKですが、今回はここから三角形にコーナーをカットします。
アサリなしノコギリで三角カット
「面取りトリマで斜めに落とす」「丸鋸を傾斜させて切る」等いろいろな方法があると思いますが、私の場合・・・
このような治具を作ってあるので・・・
このように天板の角にかぶせて出っ張った部分を治具に沿ってノコギリでカットします。
こんな感じで何かのキワをギリギリでカットする場合は「アサリなしノコギリ」が活躍します。
「アサリあり」と「アサリなし」
普通のノコギリをよく見ると刃先が交互に振り分けて広がっています。これを「アサリ」と言います。材料を切断する場合に刃先が刃の厚みよりも広い幅で切り進んでいくことで、摩擦による抵抗を減らす作用があります。また切り屑を排出しやすくする効果もあります。
「アサリなし」タイプは刃先の振れが刃の厚み内に収まっています。刃の厚み=切り幅となり抵抗が大きいので厚い材料をカットするのには適しませんが、切り口に筋が入りにくく綺麗に仕上がるメリットがあります。また今回のように何かに沿ってギリギリにカットしたい場合、刃先が外に出ていないため触れている面を傷つける心配がありません。
木ダボを埋木してツライチでカットする場合やフローリングから出ているパイプを床面ギリギリでカットしたい場合などに重宝します。
仕上げ
三角にカットできました。化粧板の家具ですのでこのように下地が見えてしまいます。
薄く削ったメラミン化粧板を接着してサンドペーパーで仕上げます。
なかなか手間のかかる細かい作業ですが、安全に使用していただくためには手を抜けない部分です。
おわり。